thank-you-2

先日、「ありがとう」の効果について考察しましたが、

我が家には、この「ありがとう」を、とても上手に使う人物がいます……長男(中2)です。

説教されることが多い長男

長男はこれまで、私達両親から数多くの注意を受けてきました。

特に、根性論が好きな夫は、勉強をしなかったり、将来の目標が定まらなかったりする長男の言動が気に食わず、すぐに説教をしてしまいます。

 

その日の夕食時も、長男の「将来はレアポケカを転売して大金持ちになる」という発言をトリガーにして、夫が人生を語り始めました。

「……であるから……長男くんみたいな考えでは……」

一度話し出すと延々と続く、夫の説教。他の人に口を挟む余裕を与えません。

 

一方、人の話を長々と聞くことのできない長男は、説教開始から数分で目が泳ぎ始め、心が別のところに行ってしまっているように見えました。

―― あー、これは聞いてないわ。

私は、どんどんヒートアップする夫と、視線を宙に浮かせたままの長男を交互に見やりながら、ツッコミを入れていました。

聞いてる!?

そんなこんなで10分程経過した頃、さすがの夫も長男が全く聞いていないことに気づきました。

「……って、長男くん、聞いてる!?」

 

長男は、ハッと我に返り、

「うん、聞いてるよ。」

と答えました。

 

けれども、夫は

「いや、聞いたとしても、全く考えていないでしょ!?お父さんの話聞いて、何か自分の意見とか考えとか言ってみてよ。」

と更に追い打ちをかけました。

 

―― あんなふうに一方的に責め立てられて、不快に思わない子はいないでしょ。しかも、明らかに聞いてなかったし。彼がまともに返事するとは思えないけど。

と、私が心のなかで再びツッコミを入れていると、

 

「えー。えーと……僕のこと色々と考えてくれて、ありがとう。」

彼は、苛立ったり、皮肉めいたりすることなく、極めて柔らかな口調で感謝の言葉を述べました。

 

「お、おう……そうか。わかった。」

ヒートアップしていた夫も、やんわりとした彼の感謝の言葉に、完全に拍子抜けし、それ以上なにも言いませんでした。

相手の怒り(?)も鎮める「ありがとう」

普通、中学生が、自分の何気ない一言をトリガーにして親から延々と説教をされたら、「もう、放っといてよ!」と言って席を立ち、自分の部屋に籠もってしまうかもしれません。

けれども彼の口から出た言葉は、意外にも「ありがとう」でした。

しかもその口調はとても柔らかく、昂っていた夫の感情を、丸ごと吸収してしまいました。

 

―― いやー、この状況でこんなふうに「ありがとう」って言えるなんて……私には無理かも。

 

でも、これができるようになれば、仕事でもかなり有効なツールとなるでしょう。

私も長男を見習って、是非ともこのスキルを習得したいところです。

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