長男(11歳)のADHDの診察の申し込みをしてから、待つこと約半年。
ようやく、病院から連絡が届きました。
電話の説明によると、本院での診察だとあと1年くらい待つことになるが、分院だったら、1ヶ月後くらいに予約をとることができる、とのこと。
あと1年待ってたら帰国してしまうので、私達は分院での診察を希望しました。
日本語対応のADHD Evaluation
分院は、街中から少し離れたところにありました。
長男と共に車で向かうと、丘の上に綺麗な建物がたっていました。
―― 綺麗な病院でよかった。
中に入って名前を伝えると、受付の人から最初に「母国語はなんですか?」と聞かれました。
受付の説明によると、この大学病院には、世界中の患者がやってくるので、どの国の言葉にも対応できるように、約40か国語の言葉の通訳者と連絡をとれるようになっているとのこと。
私達が「日本人だ」と伝えると、すぐにオンラインで日本語の通訳者に繋いでくれました。
―― 英語でどこまで詳細に説明できるか不安だったけど、これなら問題ないな。
診察は2時間程度
私達は、診察の流れの説明を受けました。
IQテストや学校での様子、家での様子などの大量の資料は、すでに先方にわたっています。
今回は、それらの資料を基に、専門の心理士(精神科医師ではなく)が診察してくれました。
彼は、私と長男から丁寧に問診をとり、内容が概ね資料と相違ないことを確認しました。
そして、結果がでるのに2週間くらいかかるので、それまで待つように言われました。
気になる結果は……
そして2週間後、分院から連絡が来て、結果を聞くために再度診察予約をとりました。
前回と同じ診察室に通されると、先生は私達に、診断結果を伝えました。
「今回、長男さんは、ADHDとは診断されませんでした。」
―― なぬ!?
ADHDとは診断できず
先生は、丁寧に言葉を選びながら、説明を続けました。
「長男さんの家での様子は、ご両親の予想どおり、ADHDの注意欠陥優位型『ADD』に該当します。けれども、学校の担任の先生の評価では、『学校では問題行動ない』ということでした。ADHDの診断は、家と学校の両方で評価基準を満たす必要があるので、今回はADHDと診断することはできません。」
―― いや、診断基準はそうだけど……学校で問題なしと評価されるのは、多動性・衝動性優勢型と違って、本人に注目しなければ「問題行動」として認識されにくいからじゃ……
「通常、ADHDの生徒は成績が悪くなりますが、長男さんはGiftedにも選ばれていますし、そのあたりもADHDらしくないですね。」
―― いや、GiftedとADHDは関係ないでしょ。Giftedの子の中にも通常と同じ割合でADHDはいるし、その人達は最初は成績良くても、勉強できなくて、中学くらいからだんだん成績が下がってくるんでしょ。その前に手を打ちたいと思ってるんですけど……
ADHDについて色々と勉強していた私は、先生の言葉に心の中でツッコミを入れていましたが、今回診断がついてしまったものは仕方がありません。
Separation anxiety disorder
「今回ADHDの診断はつきませんでしたが、他の障害が診断されました。」
―― え!?
「今回ついた診断は、Separation anxiety disorderです。」
―― なんだそれ?
予想外の診断結果に、私は驚きました。
Separation anxiety disorderとは、日本語で言うと「分離不安障害」という名前があり、端的に言うと、「家族や近しい人達と離れ離れになることをひどく恐れる特性」をもつ障害のこと。
長男は、渡米前におばあちゃんと離れたくないという不安で3週間ほど不登校になり、
また渡米後にも一度、私達家族と死別したらどうしよう、という不安で3日程不登校になりました。
少し前、長男(10歳)が学校に行けなくなり、数日間学校をお休みしました。 いじめにあった、というわけではなく、ただ涙が止まらなくなり、授業を受けられる状態ではなくなったのです。 なぜ涙が止まらなくなったかというと、 「お …
このような特性があることから、Separation anxiety disorderと診断されたようです。
ただ投薬までは必要なく、今後同じような症状がでたらカウンセリングで対応可能ではないか、と言われました。
ADHD(ADD)の診断はつかなかったが……
その日の夜、私は診断結果を夫に伝えました。
夫は私と同じようなツッコミを入れていましたが、「一度ついた診断はすぐに変わらないだろう」ということもわかっているので、とりあえずしばらくはこのままで様子をみることにしました。
ただ、彼のADDの特性は、非常にマイルドではあるものの、消えることはないと思われます。
いわゆる
「大人のADHD(症状が軽度で学校生活は問題なかったけれど、就職して複雑な仕事を任されるようになってから問題が生じるタイプ)」
として、いつかもう一度精神科を受診することになるかもしれません。
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彼が将来、職場で怒られまくって鬱になったり、問題が生じてオオゴトになったりする場合に備え、
私達はこれからもADHDの勉強を続け、長男をサポートしていきたいと考えています。