とある金曜日。
私は、週明け月曜日正午締め切りの大型グラントの申請書を書くべきか否か、悩んでいました。
――ちょっと前に頑張って書いて落ちた申請書があるから、それを修正して出そうかな……でも、もう時間もないしなあ……。
そう思っていたら、上司から一言。
「え、書いた方がいいよ。書かなきゃ始まらないよ。」
そして大ボスからも一言。
「そりゃあ、書いた方が良いでしょう。」
「え、そんなノリで書いてもいいの?……じゃあ……書いてみるかな……」
自宅でも悶々と考える
その日の夕食時。
夫「今週末は紅葉が綺麗だって。今がピークらしいよ。でも今は特に観光客が多いから、有名スポットは避けた方がよいかもね。」
私「そっかー、今は紅葉が綺麗なんだね。」
私達は、食卓で紅葉の話をしていました。
夫と会話をしながら私は、
――申請書書くんだったら、土日、書斎に籠もる事になっちゃうなー。家族には申し訳ないけど……でも、やっぱり書きたいかも。
などと考えながら、ご飯を口に運んでいました。
――よし!やっぱり書こう!
私はココロを決め、夫に言いました。
「今週末、私、部屋に籠もって月曜締め切りのグラント書いてもいいかな?」
「えっ……?」
夫の返事
突然申請書の話を持ち出した私に、夫は言いました。
「……僕、たった今、君に『週末紅葉を見に行こう』って誘ってたんだけど。」
――あれ?そうだったの!?
私は紅葉が綺麗だという話をしていたと思っていましたが、実は、週末紅葉を見に行こうという話をしていたようです。。。
「……ごめん。」
結局、自宅に籠もって物書き
夫「まあ、君が書きたいならいいよ。来週まで葉っぱも残っているかもしれないし。」
私「本当……ごめん。もっと早く、決めておくべきだった。」
夫「まあ……頑張ってね。」
子どもたち「お母さん、頑張って!」
結局、夫と子どもたちの優しい返事に甘え、私は週末、部屋に籠もる事にしました。
来週まで葉っぱが残っている事を祈りながら……。