これまでピアノを習ってきた子どもたち。
しかし、長女(小6)は受験のため一旦お休み、長男(中2)は前回の発表会を最後にピアノ教室を辞めてしまいました。
アメリカでピアノを習っていた3人の子どもたち。帰国後、長女(小5)は受験勉強やアートクラスに集中するためピアノをお休みしましたが、長男(中1)と次男(小2)は続けることにしました。 現在通っているピアノ教室では、年に2回 …
理由を聞くと、
「僕、弾きたい曲があったから一人で練習してたんだ。でも皆の前で発表するのは好きじゃないから、もうピアノ教室は行かない。」
発表会のない教室に変更する案も浮かびましたが、定期的に練習する事自体が嫌なようだったので、彼には、以前のように好きなときにピアノを弾いてもらう事にしました。
次男は一人で継続
兄姉が離脱したあと、次男(小3)は一人でピアノ教室に通い続けました。
けれど、練習にはそんなに身が入っていない様子。友達と遊んだり、ゲームをしたりする方が楽しくなってきたようです。
兄姉のときには私も練習に付き合っていましたが、3人目ともなると仕事の優先度が上がり、時間を割けなくなっていました。
そんな中、ピアノ教室からクリスマスコンサートの案内が届きました。
次男に尋ねると「コンサートに出たい!」と言います。
「練習不足だけど、本当に大丈夫かな…?」と心配しつつも、出演申請をすることにしました。
予想以上の練習不足
いざ発表曲の練習が始まると、その不安が現実に。
1週間が経ち、2週間が経っても、練習の成果はほとんど見えません。夕食時に練習状況を聞くと、
「ちょっとは進んだよ。」
「えっと、最初の8小節くらい?」
試しに弾かせてみると、最初の数小節で止まってしまい、その部分もリズムがぐちゃぐちゃ。
シンコペーションが効いたジャズ曲なのですが、
「ウン(休)、パ(音)、ウン(休)、パ(音)」と言いながら、「ウン」のところで、手も一緒に動いて音が出てしまう始末。
夫がついに、
「これ、やっぱり君が教えないと無理だよ。」
と一言。コンサートの1週間前、私も本腰を入れて練習に付き合うことを決意しました。
けれどもタイミングが悪く、私はその週、水曜から金曜まで出張。残された時間はあとわずかでした。
―― これは、かなりヤバい。。。
先生へのSOSメール
その日から2日。私も次男も頑張って練習しましたが、火曜日の時点で、まだ1ページ目がやっと終わったところ。
「……もう、物理的に無理かもしれない。」
このままではどうにもならないと感じ、次男と相談して先生にメールを送りました。
すみません、次男の仕上がりが良くなくて、コンサートに間に合わないかもしれません。当日欠席という形にはできないでしょうか?
数時間後、先生から返信が。
明日のレッスンのときに次男くんと話をさせてもらえますか?ここまで頑張ってきたのでもったいないかと思います。和音を削るなどして、もっと弾きやすく修正しますので。
―― まあ、そうだよね。。。
私は、「よろしくお願いします。」と返信しました。
そして私は出張へ
そして水曜日。
私は、夫と兄、姉に「次男くんのことよろしく。みんなで練習に付き合ってあげてね。」と何度も頼み込んで家を出ました。
しかし、出張先で届いた長女からのメッセージは、
「次男くん、ヤバい。」
「次男くん、全然練習してくれない。」
さらに、泣き顔や焦りのスタンプが大量に送られてきて、私の不安はピークに達しました。
―― もう、終わった。。。
私はコンサート会場で、途中で弾き止まり、どうして良いかわからずおろおろする次男を想像していました。
けれどもその1時間後。
次男から、 「今日は練習頑張った。」というメッセージが。
その後、長女からも、「次男くん、あの後から練習してくれた。」というメッセージが届き、私は、
「次男くんの練習に付き合ってくれてありがとう。明日はできるだけ早く帰ります。」
と返信しました。
出張から帰ると……
そして金曜日。
私は仕事をできるだけ早く終わらせ、予定よりも早い新幹線で帰宅しました。
家に着くと、次男は、ピアノの前で漫画を読んでいました。
「あ、お母さん、お帰り!」
「次男くん、練習は?」
「あ、そうだった。今、ちょっと休憩中。」
「……。」
一抹の不安の中、次男に曲を弾いてもらうと……
間違えまくりではありましたが、なんとか最後まで弾いていました。
―― これならあと2日でどうにかなるかもしれない。
そして、その日と土曜日の2日間、二人で猛特訓しました。
コンサート当日
そして、コンサート当日。
私達は、時間ギリギリまで自宅で練習しました。
「なんとか形になった!」
会場では、おじいちゃんとおばあちゃんも応援に駆けつけてくれました。次男は深々とお辞儀をしてピアノに向かい、演奏を始めました。
―― ……完璧!
数日前の停滞が嘘だったかのように、彼はとても気持ちよく弾き切り、私達は大きな拍手を送りました。
先生も「すごく感動しました!」と笑顔で話してくれました。
いい経験になったかな?
あまりの仕上がりの悪さに、一時は「欠席した方が良いかもしれない」と本気で悩んだ今回のコンサート。
次男はこの1週間、友達との遊びやゲームなどを我慢し、かなりしんどい思いをして練習してきました。
けれども、最後にこのような演奏ができ、彼にとっても何か得るものがあった……のではないでしょうか?
このような経験が、これからの彼の人生の随所で活きてくることを願っています。