私は今まで、衣食住さえ足りてさえいれば、自分の考え方や行動の工夫次第で、どんなところでも生きていけるんじゃないかと思っていました。
けれども最近、そうでもないようにも思えてきました。
魚が、陸の上で生きられないように。
鳥が、海の底で生きられないように。
私は以前、魚でした。
海の上には、空が広がっていました。
ある時私は、宝物を連れて空に飛び出てみました。
私の宝物はそれぞれ小さな鳥になり、大空を羽ばたきました。
そして私も鳥になり、自分が空を飛べる事を知りました。
私は、海に、多くのものを残してきました。
それらの声に従うまま、私は宝物とともに海に入りました。
海には空気がありませんでした。
私は以前魚だったので、エラ呼吸をすれば息ができることを知っていました。
けれどもそれは、海の中では重要だけれど、空ではなんの役にも立たない事も知ってしまいました。
私の宝物はそれぞれ小さな魚になり、エラ呼吸を学ぶのでしょう。
そしていつの日か、大海を悠々泳いで、どこかへ行ってしまうのでしょう。
私はその姿を見届けながら、海の底に沈んでいくのでしょう。
息ができないまま、死んでいくのでしょう。