対面の日ー3
一通り話した後で、私は、相手方の御両親に伝えようと思っていたことを話すことにしました。 「あの、実は、B君のことについては、今回のことが起こる前から、私たちは存じていまして……」 ―― 何を言い出すのか。 と当惑したような教頭先生の視線を感じながら、私は続けました。 ・ ・ ・ 「私たちは、しばらくの間国外に出ていて、こちらに戻ってきたのは、息子が小学1年 […]
一通り話した後で、私は、相手方の御両親に伝えようと思っていたことを話すことにしました。 「あの、実は、B君のことについては、今回のことが起こる前から、私たちは存じていまして……」 ―― 何を言い出すのか。 と当惑したような教頭先生の視線を感じながら、私は続けました。 ・ ・ ・ 「私たちは、しばらくの間国外に出ていて、こちらに戻ってきたのは、息子が小学1年 […]
相手方のご両親は、教頭先生、担任の先生とともに、部屋に入ってきました。 2人とも疲弊した様子で、うつむきながら、力なく挨拶しました。 私たちは、対面に相手方のご両親、片側に校長先生と担任の先生、反対側に教頭先生、という構図で、席につきました。 事故の経緯とその後の経過 始めに、担任の先生から事故の経緯について説明がありました。 体育の時間、心と体をほぐすための授業を行っていたこと 息 […]
息子の事故後、彼の回復以外のことについて、あまり考えられられず、相手方のご両親とお話するのは遠慮していただいていました。 立場が逆であれば、怪我をさせた子どもの両親にすぐにでも謝罪したいだろうとは思いましたが、相手の方々に「悪気はなかったのですから、気にしないでください。」と返せるかどうか、自信がありませんでした。 最初は造影MRIの結果がでてから、とお答えしていましたが、「あまり長引かせるのもよ […]
学校に行けるようになってから、息子はどんどん元気になっていきました。 初日は疲れて早退しましたが、その次の日からはほぼ全日学校で過ごせるようになりました。 家でも、以前の元気を取り戻し、おしゃべりをしたり、ぴょんぴょん飛び跳ねたりしています。 でも、骨折した彼の骨はまだくっついていないので……彼が激しめに動くたびに、親の心はざわつきます。 「次男くん、必要以上の動きが多 […]
彼の容態は、日に日に良くなりました。 片眼は、漫画で描かれるような感じに大きく腫脹していましたが、その腫れも、日を追う事に軽快していきました。 若干の複視は続いていましたが、眼の腫れが引けば、それも元の状態まで戻るだろうと言われました。 「これくらい元気になったら退院もできそうですね。学校にも行って大丈夫だと思います。ただ、まだ骨は繋がっていないので、1ヶ月間は体育はしないでください […]
彼が再び眠りについた後、静かに時が流れていきました。 「うーん……。あ、お母さん。」 久しぶりに、彼の口からはっきりとした声を聞きました。 「手術終わったよ。気分はどう?」 私が尋ねると、彼は 「うん。大丈夫だよ。」 と答えました。 看護師さんを呼んで体を起こしてもらうと、少しふらつきましたが、嘔気はほとんどないとのこと。 形成の術後にここまで状態が良くな […]
病室で、息子は静かに寝ていました。 「麻酔から覚めても、水などを与えないようにしてください。まずはお腹の動きなどを確認してから判断しますので。」 看護師さんからそのような指示を受けている間に、彼は「うーん……。」と唸り声を上げました。 半分ほど麻酔がかかった状態で、彼は体をくねらせ、「お水……のどかわいた……。」と言いました。 看護師さんが、「今はまだお水が飲めないんだよ。ごめんね。」と伝えると、 […]
息子の脳MRIの所見について、夫と静かに話していると、しばらくして、看護師さんが病室に入ってきました。 「手術が無事終わったという連絡を受けました。一緒に迎えにいきましょう。」 ・ ・ ・ 私たちは、看護師さんと共に、ベッドを押しながら手術棟へ向かいました。 自動扉から中に入ると、 「これから手術室へ迎えに行ってくるので、こちらでお待ち下さい。」 と言われました。 &n […]
病院に向かう途中で、私は自宅に立ち寄りました。 術後しばらく入院する必要があるため、息子が病院で退屈しないように、日頃遊んでいるものを持ってきてほしいと言われていました。 漫画ことわざ辞典、折り紙の本、折り紙、Camptain Underpantsの本… 彼が遊んでいる姿を思い出しながら、私は一つ一つ袋に詰めて行きました。 準備が終わると、私は朝から食事をとっていなかっ […]
緊急入院の翌日、私は本来、東京で講演する予定でした。 けれども、できるだけ病院の近くにいたかったので、オーガナイザーの方々に、私の発表のみ現地講演ではなくオンライン配信に変更できないかお願いしました。 先方はすぐに対応してくださり、病院近くのホテルの一室を借りて、そこでオンライン配信できるよう、段取りを組んでくれました。 「主治医の先生からテキストがきたけど、昨日よりも状態はいいみた […]
今後の方針等について話し合った後、私達は先生方と別れ、脳外科Dr.から説明を受けました。 本日はEICUへ入院すること、眼窩底骨折があるも、外眼筋はかんでいないようなので緊急手術までは必要なく、明日形成外科を受診して今後の方針を決めること、MRIの所見については現時点ではよくわからず、後日造影MRIにて精査すること…… 「印象としては良性のgliomaのように思いますけどねぇ。DAIっぽくはないし […]
私が落ち着くまで待った後で、夫は、ベッドの対側に立っていた人たち ― 担任の先生、校長先生、養護の先生 ― を紹介しました。 「これから、学校で何があったか説明してくださるそうなので、部屋を出ようか。」 私たちはERを後にし、待合室で適当に椅子を並べて話しました。 先生方は、私たちに深く謝罪したあとで、本日学校で起こったことを話してくれました。 通常の体育の授業のグループ活動中、順番 […]
病院に到着し、救急外来で「本日搬送された◯◯の母です。」と名乗ると、待合室でしばらく待たされた後に、ERに案内されました。 見慣れたベッドの一角に、子供が横たわっているのが見え、周囲には夫と数人の大人たちが立っていました。 その光景を見た瞬間、私は涙が溢れてきました。 ゆっくりと近づき、子供の顔を除くと、彼は両目を閉じて静かにしていました。片側の頬骨付近に打撲痕が見えました。 私は息 […]
ある日の事、私は外勤先で患者さんの診察をしていました。 ちょっと判断に迷う症例があったので、私は他の脳神経内科医の意見を聞こうと、夫に電話をかけました。 夫はちょっと口ごもり、その症例に対する意見を述べた後、次のようにいいました。 「実はさっき、次男くんが学校の体育の授業中にお友達とぶつかって、脳神経外科のクリニックを受診しているという連絡が入ったんだ。いま、自転車で向かっているとこ […]
我が家が水槽だらけとなるのきっかけを作った、地域のお祭り。 1年が経ち、またお祭りのシーズンがやってきました。 「また金魚すくいの時期だね!」 お祭りに行こう 今年、長男(中2)と長女(小6)はそれぞれお友達とお祭りに参加するとのこと。 うちの家族は、夫と私と次男(小3)の3人でお祭りにでかけました。 「金魚すくいだ!」 今年も屋台が並び、去年たくさん金魚をくれた金魚すくいのおばさん […]